CLT CAPSULE

建築から、車両へ
鉄骨造から木造へ
次世代型CLTカプセル

中銀カプセルを取得

2022年4月に中銀カプセルタワービルの解体が始まり、9月に20数体のカプセルが取り外されました。2023年、淀川製鋼所はその一つを譲り受け、動くトレーラーカプセルへと再生し、東京、大阪、名古屋の展示会で公開しました。建築家の黒川紀章が50年前の昭和に提唱したカプセルのコンセプトは、今なお人々を魅了しています。彼がホモ・モーベンスと名付けた人々が、移動し、暮らし、働き、遊ぶための要素が、近未来的でコンパクトな空間に詰まっているからです。

カプセルのリデザイン

このカプセル建築の思想を次世代へ継承し、リデザインしたものが、2024年のCLTカプセルです。国産のスギ材を使用したCLTは、森林の保全や、温室効果ガス排出量の削減に貢献します。外装は塗膜防水工法で白く仕上げたため、従来のカプセルと同じにように見えますが、内装はウッディでリラックスした趣が感じられます。LED照明や最新のデジタル機器を内蔵したインテリアが、現代人の遊び心に応えます。移動可能なCLTカプセルは、ニューノーマルの他拠点生活や、グランピングに活躍するトレーラーハウスです。

▲ CLTパネルの外装に白色の複合塗装防水を塗膜。建具や家具を入れ完成したカプセル
CLTカプセル内装
▲ CLTカプセル 丸窓、ベッド、デスク、スツール(本ページのカプセル写真すべて 撮影:新良太)
CLTカプセル内装
▲ CLTカプセル後方 テーブル、ブロックソファ、スツール、長丸窓

CLTカプセルのインテリア

かつて中銀カプセルタワービルの真っ白な一室には、当時最先端のテレビ、ステレオ、電話機が装備されていました。木の温もりを感じるCLTカプセルも次世代型の装備を備えています。丸窓や棚のイメージは継承しましたが、丸窓はアルミ横軸回転開閉型とし、棚のくぼみはLED演色照明の発光面として再構成しました。
デスクでPCに集中したら、テーブルでグラスを傾け、ソファやベッドでくつぎましょう。光(LEDライン照明)と音楽(WiFiスピーカー)と映像(チューナーレステレビ)はタブレットやスマートフォンで一元管理ができます。

▲ 丸窓のデザインは継承し、アルミ横軸回転開閉型とした
▲ ワークデスクを引き出す
▲ スライドコートハンガー(左)、ワイングラスおよびワインラック、シンクを内蔵
▲ ダイニングテーブル

▲ 朝焼けの赤、天空の白、日没の青を表現するライン照明。棚のくぼみはLEDの発光面として再構成

▲ LED照明や最新のデジタル機器で現代のライフスタイルに対応
CLTカプセルの2種類の活用方法

複数のカプセルをウッドデッキの周りに配置すると、グランピングの楽しみが広がります。トレーラーハウスは車両の扱いですが、固定すると建築物の扱いとなります。

移動型のCLTトレーラーカプセル(車両)
固定型のCLTホームカプセル(建築)

中銀カプセルタワービルの変遷
1972

1972年、黒川紀章の設計による中銀カプセルタワービルが東京・銀座に登場しました。この都心の分譲マンションは、「ホモ・モーベンス」(移動しながら働き暮らす人)のセカンドハウス、ホテル、オフィスとして販売されました。メタボリズム(新陳代謝)の思想のもと、ゆくゆくはカプセルの交換が想定されたが実現には至らず、老朽化のため50年後の2022年に解体されました。

トレーラーカプセルとして再生
2023

解体された中銀カプセルタワービルのうち、中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクトによって23カプセルが回収、修繕され、再活用されました。淀川製鋼所は、取り外したカプセルの一つを譲り受けて、どこにでも移動可能なトレーラーカプセルとして再生しました。カプセルを車台に積載するにあたり、スケルトン構造にして軽量化をはかり、オリジナルのインテリアを復元しました。

CLTカプセルとして次世代型にリデザイン
2024

2024年、次世代型のカプセルとしてCLTカプセルを開発しました。従来の木造に比べ、CLT(直交集成板)は断熱性、耐火性、耐久性、遮音性に優れ、工場内で6枚のCLTパネルを合わせるプレハブ工法により2時間で組み立てが完了します。建具や家具を取り付け、外側は高強度ウレタン・ゴムアス複合塗装により完成です。

CLTカプセル 仕様

内寸:長さ3940mm、幅2340mm、高さ2340mm
外形:長さ2460mm、長辺4060mm、高さ2460mm
シャーシ:2軸4輪 4000mm、幅2400mm、高さ790mm
総重量:2470kg(上部構造CLT+シャーシ)
構造:CLT(直交集成板)パネル構造
外装:CLTパネル、高強度ウレタン・ゴムアス複合塗装
床・壁・天井:CLTパネル現し、クリア塗装
照明:LED(Syncaフレキシブルテープライト・無線調光
水廻り設備:ギャレーキッチン(丸シンク、スイッチ付き蛇口、インナーポンプ)
建具:アルミサッシ(片開き長丸ドア、横軸回転丸窓、横軸回転長丸窓)
家具:木下地、見え掛かりメラミン化粧板、木口同材
ソファー・ベッド・スツール:ウレタン、ウエットスーツ生地
電気:分電盤(100V30A) 6回路+2
電源:専用電源(着脱式) 単相三線式

展示会スケジュール

エクステリアxガーデンエキシビション2024
2024年4月11日(木)、12日(金)終了しました
幕張メッセ ホール5 淀川製鋼所

エクステリア&ガーデンフェアNAGOYA2024
2024年5月23日(木)、24日(金)終了しました
ポートメッセなごや

関西エクステリアフェア2024
2024年5月30日(木)、31日(金)終了しました
インテックス大阪

R&R 建築再生展2024
2024年6月12日(水)〜14日(金)終了しました
東京ビッグサイト 工学院大学ブース 東1ホール

「中銀カプセル」をYODOKO+「CLTカプセル」にリデザイン
グランピングやリモートワークを好きな場所で楽しもう

 

株式会社淀川製鋼所(代表取締役社長 二田哲)は、2023年に中銀カプセルタワービルのカプセルの一つを取得しました。鋼材を補修し、竣工当時の内装を復原しながらスケルトン仕様にして軽量化をはかり、動くトレーラーカプセルとして再生しました。東京・銀座にあった名建築のシンボルを、大阪、名古屋等、各地の展示会で公開し、好評を博しました。このカプセルのコンセプトを継承し、素材を建築木材CLTパネル構造に置き換え、現代的にリデザインして製品化したものがYODOKO+ (ヨドコウプラス)の「CLTカプセル」です。

2022年3月に始動したYODOKO+は、リモートで働き、多拠点で暮らすユーザーを対象としたデザインブランドです。移動性とコンパクトさに焦点を置いた製品をエクステリアからインテリアまで展開しています。CLTカプセルは、中銀カプセルの丸窓や家具の要素を継承しつつ、CLT(直交集成材)パネルを建材に用いたもので、グランピングやアウトドアの需要に応えます。

デザイン監修は、工学院大学建築学部教授として教鞭を執る鈴木敏彦と株式会社ATELIER OPAが行いました。鈴木敏彦はかつて黒川紀章建築都市設計事務所に在籍し、カプセル建築を研究しています。建築家の黒川紀章は1970年の大阪万博にてカプセル建築のパビリオンを発表し、その後、1972年に 中銀カプセルタワービル、1979年にカプセルホテルが竣工しました。黒川紀章が予測したホモ・モーベンス(移動しながら働く人)の社会は現実のものとなり、1990年代にインターネットが登場し、2000年代に携帯電話が普及、2005年頃にノマドが現れ、近年ではリモートワークが普及しました。2022年の中銀カプセルタワービルの取り壊しにともない、再度そのコンセプトが評価されています。

一方、淀川製鋼所は1935年に鉄鋼メーカーとして大阪に誕生し、家庭や社会で不足した収納の需要に応えるべく1970年からヨド物置やヨドガレージを販売しています。2022年に開閉式のHOME OFFICEを発表し、コロナ禍のおうち時間の充実にも寄与してきました。

メセナ活動として、高度経済成長期の歴史的遺産であるカプセルの保存と公開を行うほか、その意図を次世代に継承するためにCLTカプセルを開発しました。環境負荷が小さく、CO2排出量削減や森林保全にもつながる材料であるCLTの使用は、持続可能な社会の実現に貢献します。

YODOKO+ではCLTカプセルを展示会で公開するするほか、ブランド製品およびウェブサイトを通じて拡張可能なコンパクトな空間の機能性・耐久性・デザイン性を伝えます。淀川製鋼所は創立90周年にあたる2025年に向けて、安全・安心・環境・景観に配慮した建材商品とエクステリア商品を通じ、「新しい個性を持った価値の創造」を目指します。

■お問い合わせ

株式会社淀川製鋼所 建材開発室 販促・デザイングループ
TEL:06-6282-7034 FAX:06-6282-0043
EMAIL:info@yodokoplus.com