HOME OFFICE
in Yodoko Guest House

HOME OFFICE <br>in Yodoko Guest House

ヨドコウ迎賓館は、近代建築の巨匠、フランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright)によって設計されました。

歴史をひもとけば、兵庫県芦屋市の小高い丘の上に、「櫻正宗」の銘柄で知られる灘の酒造家、八代目、山邑太左衛門(やまむらたざえもん)の別邸として計画された建物です。2022年月1月、HOME OFFICEのある暮らしを想定し、特別に撮影を行いました。

The Entrance

丘陵地に建つ建物の南側に玄関があります。撮影日の朝、東側の車寄せにHOME OFFICEが到着しました。幾何学模様の刻みがある大谷石の前で、滑らかなアルミハニカム製のHOME OFFICEが朝の光を受けて白く輝きます。奥には2階の応接室の横長のガラス窓が見えます。HOME OFFICEを広げるれば、空間を軽やかに分節してパーソナルな空間が生まれます。

The Piloti

大谷石を敷き詰めた車寄せに、低い天井のピロティが広がります。右側の幾何学模様の柱の手前に、玄関の小さな入り口があります。アルミハニカムパネル製のHOME OFFICEは周囲の色と光を映し、新旧モダニズムの様相を成しています。

The Dining Room

4階食堂には、木製の装飾が印象的な正四角錐の天井と、左右対称の暖炉があります。天井に点在する三角形の換気窓から、午後の光が差し込み穏やかな雰囲気が広がります。もしこの部屋でリモートワークを行うならば、HOME OFFICEを中央に広げて仕事がに励み、終われば部屋の隅に片づけて、食事時にはテーブルと椅子を戻す、という使い方が可能になります。

The Balcony

食堂の南側のバルコニーにHOME OFFICEを設置しました。HOME OFFICEを運び出す際に、ガラス戸とほぼ同じ幅であることがわかりました。ライトの考える寸法と、HOME OFFICEのコンパクトな作りが適合しています。

屋上の南側から北側を望むと、六甲山系に茂る樹々の緑を背景に、食堂の台形の垂直にそびえる暖炉の煙突が見えます。開放的な屋上に書斎を設ければ、アイデアの地平もより一層広がります。

ヨドコウ迎賓館について

1947年、株式会社淀川製鋼所はフランク・ロイド・ライトが設計した山邑太左衛門別邸を取得しました。1974年、ヨド物置が誕生して 4 年後、国の重要文化財に指定された時に建物には深刻な老朽化が進んでいました。維持管理の懸念もありましたが、多くの人の後押しもあり、建物の保存と修復を決意しました。学術的な調査を開始し、1988 年にはほぼ建築当初の状態に修復しました。現在はヨドコウ迎賓館として一般に公開し、貴重な文化財を受け継いだ責任を果たし、研究成果を社会に還元したいと考えています。

Photographs by Shinjiro Yamada